木曜日

気付いたらあっという間に隣駅まで来ていました。

線路沿いの道は真っ直ぐだし車通りも少ないから、稚拙なスケボー技術でもびゅんびゅん飛ばせてしまったのです。

疲れたから駐車場で休憩。もう電車で帰ろうかな、と思ったけれど、手ぶらで出てしまったから電車賃が無い。ああ、急に寂しくなります。

少年時代、ハックルベリー・フィンに憧れて街を冒険して、いつの間にか知らないところまで来てしまっていることに気が付いた、その瞬間の気持ちが、急激に鮮明に、蘇ります。おれは今、少年だ。弱くて、ちっぽけだ。夜の街はがらんとして、昼より世界が広い感じがして、自分が小さくなったように錯覚させる。

とか自惚れたフレーズを考えつつ、よし来た道を戻るか、と駐車場の車止めから腰を上げると、ちょうどチャリに乗ったポリ公が二人、のろのろとやって来て、こちらをジロジロと見てきます。なんだよ、おれ別に何も悪いことしてねえよ。

だけどまあ確かに、オマワリサン、じゃなくて、ポリ公、って呼びたくなる、そういう作用があるよな、スケボー。そういうところだよな、ジロジロ見られるのは。